これは①ワシ ②設計屋 ③カウンシル(市役所) ④ビルダー(建築屋) ⑤インスペクター(家屋検査士) ⑥弁護士A ⑦弁護士B 達との家の完成までの4年1カ月にわたる戦いの記録である。 一体誰が悪かったのか? すべては些細なボタンの掛け違いから始まった。。。
結局自分でビルダーと交渉
人生いろいろあるが、このプロジェクトは全て裏目の連続やった。仕事の遅い設計屋に設計を頼み、間違ったビルダーに建築を頼み、やる気の無い弁護士Aに問題解決を頼んでしまった。(前回の話 <<=ココ)
弁護士Aは全く解決する気が無いので、そのままフェードアウトし、結局ワシがビルダーと再交渉する事になった。しかし、やはり一度弁護士を通した事で「こいつは面倒臭い奴や」と思われたのか、久しぶりに話をするビルダーは何故か話が分かる奴になっていた。
結局ビルダーが、新たにPlanning Permit(建築許可)を再申請するという事で交渉は成立。しかし、この時点でどれくらいで再Planning Permitが取得できる分からなかった。
コンクリート基礎から約1年弱、やっと再Planning Permitが取れた
2014年12月に市役所の工事中止勧告をぶっちぎってビルダーはコンクリート基礎を強行、市役所激怒! 開けて2015年3~4月弁護士Aを通してビルダーと交渉。そして2015年4月、弁護士Aと手を切り、自分でビルダーと交渉し、やっと【再申請費用全てビルダー負担】で話がまとまった。
それから今度は市役所と交渉し、何とか「再申請なので許可承認を早めにお願いします」と何度も頼んだ。しかしそこは豪州の役所仕事。結局再Planning Permit(建築許可)が取得できたのは、半年後の2015年10月。コンクリート基礎から10カ月後の事だった。役所が融通が利かないのは世界共通かも知れない。
2015年10月、ついにフレーム工事が始まった
感無量としか言いようがない。もう駄目だとあきらめていたProject がついに再開した。2014年5月に建築契約、コンクリ基礎、そして工事中止。そこからやっとここまで来た。既に契約から1年半も経っていた。2015年11月にはフレーム工程も完了し、レンガの積み上げが始まった。家が徐々に家らしくなってきた。
2016年1月 レンガ積みも完了。ついに内装工事が始まる。しかし新たな戦いが。。。。
2014年5月にビルダーの見積もりは3Bedroom unit で$210,000。しかしそれからもめ事があったので部材価格、人件費のアップもあり、ビルダーもなるべく早く完成して、全額資金を回収したい気持ちは分からないでもない。
しかし、やっつけ仕事が多かった。。質が悪すぎた。。。。。
豪州の家は主に以下の5つのステージでOwnerが確認し都度お金を払っていく。
①BASE ( approx 20% of Cost)
基礎工事
②FRAME (approx 20% of Costs)
木のフレームを組む
③LOCK UP (approx 25% of Costs)
レンガを積み上げて行き、窓、ドア、屋根瓦を付け、外装を完了
④FIXING (approx 20% of Costs)
台所、部屋間仕切りの壁、内装仕上げ
⑤COMPLETION (approx 10% of Costs)
電気、水道、全てのコネクションを完了。
この各ステージで 【第三者の独立したInspector(家屋検査士)】 が確認することになっている。その際、Ownerは契約金額の10-30%を段階的に支払っていく。 しかし結局は【ビルダーが頼んでいるInspector=金はビルダーからもらっている人】なので、誰のために働くかは自明の理。全く頼りにならない。
ワシは建築のプロじゃないので餅は餅屋、ビルダーが頼んだInspectorとは別に、ワシ独自のHouse Inspector(家屋検査士)にProjectのステージごとの建築確認をお願いしていた。
しかし、ワシのHouse Inspectorはこのビルダーには余りにもきつ過ぎた(強すぎた)。。。。
ワシの頼んだInspector は2軒めの家を購入した時からの付き合いで、本当に「キッチリ」仕事をしてくれる。荒くれのビルダーに負けない気の強さ、知識、ビルディング協会の強いネットワークもあり、いつも頼りにしている。
今まで同じように家を買ったり、建てたりしていた知人達にもよく紹介していたが、場合によっては「言っている事が正しすぎて、ビルダーがへそを曲げる」事もあり、工事遅れ、引っ越し遅れを度々起こしていたことは伝え聞いていた。
そういったマイナス面もあるが、ワシにとっては非常に強い味方。今回もベースステージからお願いしていたが、ビルダーの仕事の質が悪すぎて、不具合レポートの指摘事項が半端なく多い。
何度も現場で打ち合わせを行う予定だったが、ビルダーが来ない。。。。
本当に悪いビルダーに当たってしまった。
以前、自宅を新築した際にもこの強力な味方のHouse Inspectorを使ったが、その時のビルダーはちゃんと指摘事項に耳を傾けて、悪い部分をしっかり改修してくれた。しかし今回のProjectのビルダーは、打ち合わせにも来ず、全く話ができない。打ち合わせはいつもドタキャン。
- 適当な代理人を打ち合わせに送ってくるが、そいつも全く頼りにならない。
- 不具合レポートを送り付けても無視。
- 打ち合わせをやろうにも毎回のドタキャン。(車壊れたとか、パンクとか)
しかし、工事はどんどん進めていくので、こっちも困る。特にプラスター(内壁)を付けられるとフレームの不具合が隠れてしまう。
そんなこんなでビルダーとワシのHouse Inspector (家屋検査士)の戦いは益々深みに入っていった。。。。。既に遅れているのに更なる遅れに。。。。
まとめ
- 日本では分からないが、豪州ではビルダーはOwnerに対してrespect (尊敬、遠慮)は全く無い。【ニコニコして揉み手】のような感じには絶対にならない。
- はっきり言って「素人=Owner」が建築に文句を言ってもビルダーは聞く耳を持たない場合が多い。なぜならOwner = 素人は建築基準を知らないから。これはいわばレストランで客がいきなりキッチンに入ってシェフに味の文句を言っているようなもの。Ownerの指摘を聞く訳がない。
- 新築の家を建てるならば、ビルダーと揉める可能性は非常に高いがHouse Inspectorは頼む価値はあると思う。(ただし自己判断で)
- Inspectorを使うとビルダーと本当に揉める場合があるので、頼むのであればそれなりの覚悟が必要。ワシの知り合いはVCATの裁判まで進んだ。
- 1回$500~600位の費用で4回ぐらい検査してもらうが、後で不具合が見つかるよりよっぽど良い。彼らの検査は本当にすごい。素人には気が付かない所をビシビシ指摘してくれる。例えば
- 窓枠、ドア枠のずれ
- 排水溝の工事が建築基準通りか
- 水回りの工事は建築基準通りか
- 窓枠の防水処理が正しく行われているか(ただシリコンを付けているのとは違う)
- フレームの釘の打ち方は建築基準通りか
- 内装の壁の歪み
- レンガの酸化処理
- ドライブウエイの酸化処理
- 排水処理
- 筋交いの張り具合(これは素人には全く分からない)
- 等々。
【どういった建築基準でどういった作業をすべきか】を知っていないと新築の家の検査は素人には無理と思う。
しかし、ワシは中古の投資物件を購入する際、Inspectorは使った事が無い。なぜなら下手に使って多数指摘されたら、せっかく調査に調査を重ねて時間をかけて探し出した投資物件を購入する気持ちがなくなるから。聞かず、見ざる、言わざる方式。詰まるところ自分で住まないから。
ボタンの掛け違い年表
- 2011年 ●raybrookプロジェクト 。Subdivisionで市役所の許可は取れたが、銀行から金が借りれなくプロジェクトは中止。その後物件売却。
- 2012年6月25日 新たなプロジェクトを立ち上げ。条件付きで●rankston North物件の役所の建築許可が下りた。しかし、またしても銀行から金を借りれず、プロジェクトは保留(中止ではない)。
- 2014年初頭 Planning Permit延長許可申請が却下。山火事の後にルールが変わった。仕方ないので期限の2014年6月26日までに建築開始を決意。慌てて図面修正を再開。
- 2014年5月7日 ビルダー(建築屋)と契約。建築許可期限まであと1.5か月。
- 2014年6月24日 Building permitが下りる。許可期限まで2日。ギリギリ間に合った。
- 2014年6月24日 工事を開始したとビルダーは言うが、市役所は着工していないと言い張る=>結果、許可期限切れ。市役所から工事の中止要求。
- 2014年8月21日 市役所から正式にPlanning Permit 期限切れ=建築許可取り消しの連絡があった。
- 2014年12月 ビルダーが市役所の建築許可取り消しを無視してコンクリート基礎を進めた。
- 2015年1月 改めて市役所から工事中止命令が出る。
- 2015年3月 これ以上はにっちもさっちも行かないので、仕切り直しと言う事で再度Planning permit(建築許可)の申請をする事にした。これで半年遅 れはほぼ確実。
- 2015年3月 使えない弁護士Aに頼んでPlanning Permit(建築許可)の再申請費用はビルダー払いにしようとしたが、弁護士Aは解決できず、結局無駄な金・無駄な時間を費やしただけだった。
- 2015年4月 結局自分でビルダーと交渉し、建築許可再申請はビルダーの負担で決着した。
- 2015年10月 2回目の建築許可が下りたので建築再開。
- 2015年11月 正しすぎるHouse Inspector の不具合指摘箇所が多すぎてビルダーが逃げ回る。
すべては些細なボタンの掛け違いから始まった
- その1 もうけを狙って家ではなくユニットを建てようと決心した =>一番無難な不動産投資は【既に建っている物件を売買する方が楽でリスクも低い】
- その2 最初のプロジェクトで仕事の遅い設計士 Matthewと出会ってしまった=>やはり仕事が遅い人とは付き合わない方がいいかもしれない
- その3 今回の●rankston North のプロジェクトで適切で無い人に設計の仕事を頼んだ=>懲りもせず再びMatthewに仕事を頼んでしまった! 無駄なお金が後で次々と。。。。
- その4 山火事の為にルールが変わり、建築許可の延長ができなかった為、無理な日程で建築業者を選定した。=>もし山火事がなければ簡単に2年間延長できた筈。。。。。
- その5 建築許可期限まで時間が無かった。慌てていたので業者の選択の余地が無かった=>適切で無い人に建築を頼んでしまった。
- その6 ビルダー(建築屋)は建築許可が切れる前に工事開始した、しかし市役所は工事を開始していないので建築許可取り消し、と言い出した。。。両者の言い分が全くかみ合わず。(実際ビルダーが開始していなかったのをワシは偶然写真で撮っていた)
- その7 ビルダー(建築屋)が市役所に黙ってコンクリート基礎を行い、市役所から再度工事中止命令がでる。==>中途半端にコンクリート基礎を施工したので、もう戻れない。計画・工事中止もできなくなった。
- その8 全くやる気のない弁護士Aに出会った。==>更に無駄な金・無駄な時間を過ごした。
- その9 正しすぎるInspectorに仕事を頼んだ==>ビルダーが怒り、全く聞く耳を持たなくなった。打ち合わせにも一切出てこない。