【オーストラリア不動産】⑩ Subdivision (土地分割・新築)一体誰が悪かったのか? 4年1か月の戦い = 引き渡し、そしてDBDRV

オーストラリア不動産
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これは①ワシ ②設計屋 ③カウンシル(市役所) ④ビルダー(建築屋) ⑤インスペクター(家屋検査士) ⑥弁護士A ⑦弁護士B 達との家の完成までの4年1カ月にわたる戦いの記録である。 一体誰が悪かったのか? すべては些細なボタンの掛け違いから始まった。

弁護士と2つのアプローチで進める

全くやる気のないビルダーに引っ張られ、9割方まで完成した家は3年近くほったらかしにされ、ビルダーとのにらみ合いが続く。こちらは最後の10%の金を払わない、向こうはOccupancy Permitという【人が住める許可証】を発行しない。さりとて【Contractを破棄すると先に手を挙げた方が違約金を払う事になる】。お互い動けない。。。。【前回までのあらすじ】<<==ココ

この戦いに新たに参戦となった弁護士Bさんと今後の【戦略】を立てる。そういえば以前の弁護士Aは戦略も立ててなかったな~。以下2つの戦略を考えた。

  1. 工事遅れによるビルダーが支払うべき遅延補償金をあきらめる。(ざくっと計算したら$90,000 = 約700万円) 不具合箇所の改修も全部ワシの自腹。
  2. とことん戦う。裁判も辞さない。

もうこのビルダーと関わり合いたくないので【1】も考えたが、家の引き渡しの最終検査にも顔を出さない、不具合も直さない、などのビルダーの人としての不誠実さに腹が立ってしょうがない。どうしてもギャフンと言わせたい。(多分言わないけど)よって【2】とことん戦う。裁判も辞さない、の方向に進むことにした。

然しながら、まずは3年近くほったらかしになっている家を何とかしないと、このままだと家にいたずらによるダメージなどの2次災害が起きる可能性がある。よって家に関しては①とりあえずHandover(引き渡し) ②不具合は後で遅延補償金と合わせて請求という方向性を決めた。

2018年2月 Handover (引き渡し)。電気メーターも無いけど。。。。

電気メーターがなくても引き渡し
分かりますか? スライドドアの取っ手。 本来ならば表裏逆です。面位置(つらいち)のはず。やる気が全くないのが分かる
既に壊れたスイッチ

やはり、やり手の弁護士が入ると話が早い。あれだけ「全てこちらの要求を無視していた」ビルダーが最終的なHandover (引き渡し)にすぐに応じた。流石、弁護士Bさんや。。。。

そしていよいよ、Handover(引き渡し)の日。ワシは一人、向こうは手下みたいなのを連れてきた。勿論、[How are you ?]なんか死んでも言わない。お互い仏頂面。ビルダーはHandover Packageという、いろいろ書類が入ったファイルを持ってきて全部サインせい、とか言うがほとんど拒否。ここで書類全部にサインしたら後程の裁判に響く。一部の書類のみに合意してサインをし、無事Handoverは終わった。これでこの家はワシの物になり、懸念であったOccupancy permit(人が居住できるという許可証)も入手した。またワシの10%の残額支払いは棚上げのまま。

さあ、貰うもん貰った!人が住んでも良いという許可証

ちなみにこの時点でビルダーはワシらが裁判まで戦う予定だという事を知らない。今日のHandoverで多分「やれやれ」と思ったかも知れないが、そうは問屋が卸さない。ワシは既に復讐の鬼になっていた。Handoverを何とか終わらしてから、総攻撃する予定。

185項目の不具合項目を残して建物引き渡しが完了した。一時設置されていた電気メーターは剥がされていた。後で分かった事だがビルダーが電気屋に支払いをしていなかったので、電気屋が未払いを理由に電気メーターを取ったらしい。このビルダーはワシだけではなく関連の人達みんなに迷惑をかけていた。

DBDRVの準備

DBDRVとは

ワシと弁護士Bさんが裁判準備を進めようとしていた2017年末、ビクトリア政府はDBDRV(Domestic Building Dispute Resolution victoria)を導入しやがった。 要は今までVCAT (Victorian Civil and Administrative Tribunal )でワシみたいにビルダーとオーナーとの争いがあまりにも多かったのでVCATの下位組織・プロセスとしてDBDRVが2017年の年末位に導入された。DBDRVで解決できない場合、上位組織のVCATに行くという2段階プロセスに変更となった。 (ビクトリア州のみですよ)

DBDRV <<==ココ

多分豪州に住んでいる方は【豪州あるある】でご理解いただけると思うが、この新しいプロセスに州職員、ユーザー全てが【不慣れ】なため、今回のこのProjectの揉め事はいきなり【半年待ちのバックオーダー状態】。もう勘弁してくれ~!!! 一体神はどこまでワシに試練を。。。。。 どうせだったらワシらのもめ事の解決後にDBDRVを導入してほしかった~。。。。何故今~?。。。。

なんでこのProject はここまで俺に試練を与えるのか?。。。。 この件も十分【ボタンの掛け違いシリーズ】に入る。

そして不具合の改修

DBDRVに申請書を送り、平行して物件の改修をしなくては賃貸人を入れる事ができない。Handover後 多数のビルダーにリストを添付して185項の不具合の改修を頼んだが全員拒否。

豪州(ビクトリア州だけ?)では、消費者保護の為、ビルダー(建築屋)などがある金額以上の仕事をやった場合、その仕事に対して7年間の保証をしなくてはいけない。そのため、もし他のビルダーがこの仕事を請け負った場合、【訳の分からん奴が中途半端にやった仕事を改修して7年間保証しなくてはいけない】という、割に合わない仕事になる。そのため改修してくれる人が見つからない。ワシがビルダーやったら、やはりそんな仕事は引き受けたくないと思う。この185項目の改修の業者選びは思ったより難航した。

ある日、近所のCarpenter (大工さん)から「やって良いよ。でも出来高払いならね」という条件が返ってきた。既にこの不具合回収工事については10人以上から仕事を断わられている。この【出来高払い】の怖い所は【最終的にいくらになるか分からない事】この人の背景も知らないし、知人の紹介でもない。悪人かも知れない。。。。迷った。。。。

この【呪われたSubdivision Project】今まで全てが裏目に出ていた。。仕事の遅い設計屋。。。不誠実なビルダー。。。やる気のない弁護士A。。。山火事で変更となった法律。。。。新しく導入された混乱下のDBDRV。。。これでこの人が悪人やったら泣きっ面に蜂! 状態になってしまう。。。しかし、もう後がない。

清水の舞台から飛び降りる覚悟でこの人に任せた。。。

大正解! むっちゃ良い人で想像してたより、早く、安くできた。捨てる神あれば拾う神ありとはこの事だった! やはり神様は超えられない試練は与えなかった!(Jinより)

2018年6月、やっと家が完成! 一軒建てるのに4年1カ月も費やした

この最後に出てきたCarpenter(大工さん)のお蔭で家の不具合は全て改修し何とか完成した。しかしSubdivisionの面倒な事はまだあった。それは①市役所の最終確認、タイトルの変更と そして③DBDRVでの戦い。。。あともうちょい。。。。。

良かったことはこの後すぐに賃貸人が見つかり、2018年7月から入居してくれた。。。良かったあ~。

まとめ

  • 捨てる神あれば拾う神あり。あきらめなければ何とかなる。
  • 朝の来ない夜はない。
  • もがいて、諦めなければ、【適切な時期】に【適切な人】に出会えると思う。今までもそうだったし、今回の弁護士B、Carpenterの人もそうだった。
  • 改めて【全てがもう少し早ければこうなっていなかった】という感じはある。元凶は仕事の遅い設計屋。しかしこれは神様からの試練やったと思う。(お蔭でブログのネタになった?)

ボタンの掛け違い年表

  • 2011年  ●raybrookプロジェクト 。Subdivisionで市役所の許可は取れたが、銀行から金が借りれなくプロジェクトは中止。その後物件は売却。
  • 2012年6月25日 新たなプロジェクトを立ち上げ。条件付きで●rankston North物件の役所の建築許可が下りた。しかし、またしても銀行から金を借りれず、プロジェクトは保留(中止ではない)。
  • 2014年初頭 Planning Permit延長許可申請が却下。ビクトリア州の山火事の後に建築ルールが変わった。仕方ないので期限の2014年6月26日までに建築開始を決意。慌てて図面修正を再開。
  • 2014年5月7日 ビルダー(建築屋)と契約建築許可期限まであと1.5か月。
  • 2014年6月24日 Building permitが下りる。許可期限まで2日。ギリギリ間に合った。
  • 2014年6月24日 工事を開始したとビルダーは言うが、市役所は着工していないと言い張る=>結果、許可期限切れ。市役所から工事の中止要求。
  • 2014年8月21日 市役所から正式にPlanning Permit 期限切れ=建築許可取り消しの連絡があった。
  • 2014年12月 ビルダーが市役所の建築許可取り消しを無視してコンクリート基礎を進めた
  • 2015年1月 改めて市役所から工事中止命令が出る。
  • 2015年3月 これ以上はにっちもさっちも行かないので、仕切り直しと言う事で再度Planning permit(建築許可)の申請をする事にした。これで半年遅 れはほぼ確実となった。
  • 2015年3月 使えない弁護士Aに頼んでPlanning Permit(建築許可)の再申請費用はビルダー持ちにしようとしたが、弁護士Aは全くやる気がなく、結局無駄な金・無駄な時間を費やしただけだった。
  • 2015年4月 結局自分でビルダーと交渉し、建築許可再申請はビルダーの負担で決着した。
  • 2015年10月 2回目の建築許可が下りたので建築再開。
  • 2015年11月 正しすぎるHouse Inspector の不具合指摘箇所が多すぎてビルダーが逃げ回る。
  • 2017年2月 突然ビルダーからFinal Inspection(引き渡し前最終検査)の通知。しかし全てがやっつけ仕事。引き渡しは勿論拒否。
  • 2017年12月 弁護士Bに問題解決依頼。
  • 2018年2月 電気メーターもなく185項目の不具合あったが、とにかく物件の引き渡しは完了した。
  • 2018年6月 親切な大工さんのお陰ですべての不具合を改修した
  • 2018年7月 賃貸人入居

すべては些細なボタンの掛け違いから始まった

  • その1 もうけを狙って家ではなくユニットを建てようと決心した =>一番無難な不動産投資は【既に建っている物件を売買する方が楽でリスクも低い】
  • その2 最初のプロジェクトで仕事の遅い設計士 Matthewと出会ってしまった=>やはり仕事が遅い人とは付き合わない方がいいかもしれない
  • その3 今回の●rankston North のプロジェクトで適切で無い人に設計の仕事を頼んだ=>懲りもせず再びMatthewに仕事を頼んでしまった! 無駄なお金が後で次々と。。。。(他の設計士に頼んでいれば。。。。)
  • その4 ビクトリア州の山火事の為にルールが変わり、建築許可の延長ができなかった為、無理な日程で建築業者を選定した。=>もし山火事がなければ簡単に2年間延長できた筈。(山火事が無ければ。。。。。)
  • その5 建築許可期限まで時間が無かった。慌てていたので業者の選択の余地が無かった ==>適切で無い人に建築を頼んでしまった。 (他のビルダーに仕事を頼んでいれば。。。)
  • その6 ビルダー(建築屋)は建築許可が切れる前に工事開始した、しかし市役所は工事を開始していないので建築許可取り消し、と言い出した。。。両者の言い分が全くかみ合わず。(実際ビルダーが開始していなかったのをワシは偶然写真で撮っていた)
  • その7 ビルダー(建築屋)が市役所に黙ってコンクリート基礎を行い、市役所から再度工事中止命令がでる。==>中途半端にコンクリート基礎を施工したので、もう戻れない。計画・工事中止もできなくなった。 (他のビルダーに仕事を頼んでいれば。。。)
  • その8 全くやる気のない弁護士Aに出会った。==>更に無駄な金・無駄な時間を過ごした。(最初から弁護士Bに出会っていれば。。。)
  • その9 正しすぎるInspectorに仕事を頼んだ==>ビルダーが怒り、全く聞く耳を持たなくなった。打ち合わせにも一切出てこない。(他のビルダーに仕事を頼んでいれば。。。)
  • その10 ビルダーの家族に不幸があり、ビルダーは全く仕事のやる気がなくなった。 (すべてがもう少し早ければ。。。)
  • その11  家族内の不幸が原因でビルダーが離婚、そして建築業廃業。==>ビルダーの人生の一番つらい時に付き合わされた。(すべてがもう少し早ければ。。。)
  • その12 いきなりビクトリア州が新しい問題解決組織DBDRVを設定したので、この新しい組織・プロセスに州職員、ユーザー全てが【不慣れ】なため、いきなり【半年待ちのバックオーダー状態】となった。 (あと半年アクションが早ければ。。。)
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